「半角の公式ってなんだっけ」
「半角の公式の使い方が知りたい」
今回は半角の公式に関するこんな悩みを解決します。
半角の公式をすぐに忘れてしまいます
半角の公式は三角関数の重要な公式の1つです。
半角の公式
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \cos ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1+\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \tan ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{1+\cos \theta}
\end{eqnarray}
半角の公式を使うことで、\(\sin 15^\circ\)などを求めることができます。
ただ、半角の公式は見た目も複雑ですし、使い方が分かりづらい公式です。
きっと半角の公式や2倍角の公式がニガテな方も多いと思います。
本記事では半角の公式の使い方などを徹底解説しています。
三角関数が苦手な方にとって参考になることも多いので、ぜひ最後までご覧ください。
記事の内容
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半角の公式
三角関数には重要な公式がいくつかあります。
三角関数の重要公式
- \(\sin,\cos,\tan\)の基本公式
- 正弦定理
- 余弦定理
- 加法定理
- 2倍角の公式 など
そして半角の公式も三角関数の重要公式の1つです。
半角の公式
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \cos ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1+\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \tan ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{1+\cos \theta}
\end{eqnarray}
半角の公式はこんな式の形をしています。
その他の重要公式についてはこちらの記事でまとめました。
半角の公式 証明
半角の公式は\(\cos\)の2倍角の公式を変形して証明します。
\begin{eqnarray}
\cos 2\theta&=&\cos^{2} \theta -\sin^{2} \theta\\
&=&1-2\sin^{2}\theta\\
&=&2\cos^{2} \theta-1
\end{eqnarray}
\(\cos\)の2倍角の公式
\[\cos 2\theta=1-2\sin^{2}\theta\]
\(\theta\)を\(\displaystyle \frac{\theta}{2}\)に置き換えると、
\[\displaystyle \cos 2\cdot \frac{\theta}{2}=1-2\sin^{2} \frac{\theta}{2}\]
ゆえに
\[\displaystyle \cos \theta=1-2\sin^{2} \frac{\theta}{2}\]
となり、式を整理すると
\[\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}=\frac{1-\cos \theta}{2}\]
これで\(\sin\)の半角の公式を示すことができました。
\(\displaystyle \cos^{2} \frac{\theta}{2}\)も同様に、2倍角の公式から証明することができます。
\(\cos\)と\(\tan\)の証明はこちらの記事で紹介しています。
半角の公式 使い方
半角の公式は\(\theta\)を使って、\(\displaystyle \frac{\theta}{2}\)の三角比を求めます。
公式から分かるように、\(\cos \theta\)さえ分かれば半角の公式が使えます。
例として、\(\displaystyle \sin \frac{\pi}{12}\)を求めてみましょう。
\(\displaystyle \sin^{2} \frac{\pi}{12}\)を求めるには、\(\displaystyle \cos \frac{\pi}{6}\)は必要です。
\[\displaystyle \cos \frac{\pi}{6}=\frac{\sqrt{3}}{2} \cdots ①\]
①と半角の公式から、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^{2} \frac{\pi}{12}&=&\frac{1-\cos \frac{\pi}{6}}{2}\\
\displaystyle &=&\frac{1-\frac{\sqrt{3}}{2}}{2}\\
\displaystyle &=&\frac{2-\sqrt{3}}{4}
\end{eqnarray}
\(\displaystyle \sin \frac{\pi}{12}>0\)より、
\[\displaystyle \sin \frac{\pi}{12}=\frac{\sqrt{2-\sqrt{3}}}{2}\]
まずは\(\cos \theta\)を求めることを意識しましょう。
公式を覚えたら、使いこなせるようになろう!
半角の公式を使う時の注意点
半角の公式を使う時の注意点が2つあります。
注意ポイント
- 2乗であること忘れない
- \(\theta\)の範囲に気を付けよう
半角の公式で気を付けたい2点を解説します。
油断するとミスするよ!
2乗であること忘れない
半角の公式は左辺が2乗であることに気を付けましょう。
半角の公式を忘れたときのために、2倍角の公式から半角の公式を作れるようにしておくと良いです。
\(theta\)の範囲に気を付けよう
もう1つ注意すべきなのが\(\theta\)の範囲です。
\(\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}\)から\(\displaystyle \sin \frac{\theta}{2}\)を求めるとき、
\(\displaystyle \frac{\theta}{2}>0\)ならば、\(\displaystyle \sin \frac{\theta}{2}>0\)
\(\displaystyle \frac{\theta}{2}<0\)ならば、\(\displaystyle \sin \frac{\theta}{2}<0\)
難しいことではありませんが、ここでミスするともったいないです。
\(\sin\)に限らず、\(\cos\)や\(\tan\)を求めるときにも範囲を意識するようにしましょう。
2乗も符号も油断しないように気を付けます
半角の公式の覚え方
半角の公式の覚え方を紹介します。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \cos ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1+\cos \theta}{2}
\end{eqnarray}
どちらもここまでは同じ形をしています。
ここで右辺の符号に注目しましょう。
ポイント
右辺には\(\cos \theta\)があります。
\(\displaystyle \sin^{2}\frac{\theta}{2}\)⇒\(\cos\)と異なるのでマイナス
\(\displaystyle \cos^{2}\frac{\theta}{2}\)⇒\(\cos\)と同じなのでプラス
\(\tan\)の公式は丸暗記ではなく、
\[\displaystyle \tan \theta=\frac{\sin \theta}{\cos \theta}\]
を利用して作りましょう。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan^{2}\frac{\theta}{2}&=&\frac{\sin^{2} \frac{\theta}{2}}{\cos^{2} \frac{\theta}{2}}\\
\displaystyle &=&\frac{1-\cos \theta}{1+\cos \theta}
\end{eqnarray}
\(\sin\)と\(\cos\)の半角の公式さえ覚えておけば、\(\tan\)は簡単に求めることができます。
両辺がcosのときが+になるんですね!
そうだよ!自分の覚えやすいように覚えよう!
2倍角の公式
2倍角の公式も三角関数の重要な公式です。
2倍角の公式
\begin{eqnarray}
\sin 2 \alpha&=&2 \sin \alpha \cos \alpha\\
\cos 2 \alpha&=&\cos^{2} \alpha – \sin^{2} \alpha\\
&=&1-2 \sin^{2} \alpha\\
&=&2 \cos^{2}-1\\
\displaystyle \tan 2\alpha&=&\frac{2 \tan \alpha}{1-\tan^{2}\alpha}
\end{eqnarray}
2倍角の公式を使って半角の公式を証明しましたね!
その2倍角の公式は“加法定理”を活用して作ることができます。
加法定理
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha+\beta)&=&\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta\\
\sin(\alpha-\beta)&=&\sin \alpha \cos \beta-\cos \alpha \sin \beta\\
\cos(\alpha+\beta)&=&\cos \alpha \cos \beta-\sin \alpha \sin \beta\\
\cos(\alpha-\beta)&=&\cos \alpha \cos \beta+\sin \alpha \sin \beta\\
\displaystyle \tan(\alpha+\beta)&=&\frac{\tan \alpha+\tan \beta}{1-\tan \alpha \tan \beta}\\
\displaystyle \tan(\alpha-\beta)&=&\frac{\tan \alpha -\tan \beta}{1+\tan \alpha \tan \beta}
\end{eqnarray}
加法定理の重要ポイントは別の記事でまとめました。
半角の公式《練習問題》
半角の公式を使った練習問題にチャレンジしてみましょう。
練習問題
\(0<\theta<\pi\)で\(\displaystyle \cos \theta=-\frac{2}{3}\)のとき、
\(\displaystyle \sin \frac{\theta}{2},\cos \frac{\theta}{2},\tan \frac{\theta}{2}\)を求めよう。
公式に代入していこう!
\(\displaystyle \sin \frac{\theta}{2}\)を求める
\(\displaystyle \cos \theta=-\frac{2}{3}\)を半角の公式に代入して、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{2}\\
\displaystyle &=&\frac{1+\frac{2}{3}}{2}\\
\displaystyle &=&\frac{5}{6}
\end{eqnarray}
ここで\(0<\frac{\theta}{2}<\frac{\pi}{2}\)なので、\(\sin \frac{\theta}{2}>0\)
したがって、
\[\displaystyle \sin \frac{\theta}{2}=\frac{\sqrt{30}}{6}\]
\(\displaystyle \cos \frac{\theta}{2}\)を求める
\(\sin\)と同様に、公式に代入して考えましょう。
\begin{eqnarray}
\displaystyle \cos^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1+\cos \theta}{2}\\
\displaystyle &=&\frac{1-\frac{2}{3}}{2}\\
\displaystyle &=&\frac{1}{6}
\end{eqnarray}
ここで\(0<\frac{\theta}{2}<\frac{\pi}{2}\)なので、\(\cos \frac{\theta}{2}>0\)
したがって、
\[\displaystyle \cos \frac{\theta}{2}=\frac{\sqrt{6}}{6}\]
\(\displaystyle \tan \frac{\theta}{2}\)を求める
\(\displaystyle \sin \frac{\theta}{2}=\frac{\sqrt{30}}{6},\cos \frac{\theta}{2}=\frac{\sqrt{6}}{6}\)
よって、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan\frac{\theta}{2}&=&\frac{\sin \frac{\theta}{2}}{\cos \frac{\theta}{2}}\\
\displaystyle &=&\frac{\frac{\sqrt{30}}{6}}{\frac{\sqrt{6}}{6}}\\
&=&\sqrt{5}
\end{eqnarray}
したがって、
\[\displaystyle \tan \frac{\theta}{2}=\sqrt{5}\]
公式を覚えたので解けました!
すばらしい!!これで半角の公式もバッチリだね!
半角の公式 まとめ
今回は半角の公式についてまとめました。
半角の公式 まとめ半角の公式
\begin{eqnarray}
\displaystyle \sin^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \cos ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1+\cos \theta}{2}\\
\displaystyle \tan ^{2} \frac{\theta}{2}&=&\frac{1-\cos \theta}{1+\cos \theta}
\end{eqnarray}
半角の公式は2倍角の公式を式変形することで証明できます。
\begin{eqnarray}
\cos 2\theta&=&\cos^{2} \theta -\sin^{2} \theta\\
&=&1-2\sin^{2}\theta\\
&=&2\cos^{2} \theta-1
\end{eqnarray}
今回は半角の公式に焦点をあてて解説しました。
三角関数には加法定理や2倍角の公式など重要な公式がたくさんあります。
三角関数の重要ポイントをまとめた記事はこちら
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