加法定理の証明を分かりやすく解説!2点の距離と余弦定理で示めす

加法定理の証明を分かりやすく解説!2点の距離と余弦定理で示めす


「加法定理の証明が知りたい」
「どうして加法定理は成り立つの?」
今回は加法定理に関するこんな悩みを解決します。

高校生

加法定理がなぜ成り立つのか知りたいです

三角関数のなかでも加法定理は重要な公式の1つです。

加法定理

\begin{eqnarray}
\sin(α+β)&=&\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta\\
\sin(α-β)&=&\sin α \cosβ-\cosα \sinβ\\
\cos(α+β)&=&\cos α \cosβ-\sinα \sinβ\\
\cos(α-β)&=&\cos α \cos β+\sinα \sinβ\\
\displaystyle \tan(α+β)&=&\frac{\tanα+\tanβ}{1-\tanα \tanβ}\\
\displaystyle \tan(α-β)&=&\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα \tanβ}
\end{eqnarray}

見た目が複雑な形をしているので、

「加法定理はどうしてそんな公式になるの?」

そう思う方もいるかもしれません。

本記事では加法定理の証明をまとめました。

実はそこまで難しい証明ではないので、ぜひ最後までご覧ください。

記事の内容

※本ページは学習アプリのプロモーションが含まれています。

シータ

気になる見出しをクリックして、
ぜひ最後までご覧ください。

▲スマホから数学の質問ができる
学習アプリ『Rakumon』

アプリをダウンロードする

24時間いつでもチャットで解決!

目次

加法定理の証明

加法定理を全て証明するには、

\[\cos(α+β)=\cos α \cosβ-\sinα \sinβ\]

をまず証明します。

\(\cos(α+β)\)を証明するにはいくつか方法がありますが、今回は定番の2つを紹介します。

  • 余弦定理を用いて証明
  • 余弦定理を用いない証明

さっそく加法定理を証明していきましょう!

シータ

証明方法はいろいろ知っておくと良いよ!

加法定理の証明:余弦定理を使う

まずは余弦定理を用いて加法定理を証明します。

点\(P,Q\)の座標を\(P(\cos \alpha ,\sin \alpha),Q(\cos \beta ,\sin \beta)\)とします。

加法定理の証明:余弦定理を使う

まずは余弦定理を用いて\(PQ^{2}\)を表します。

点\(P,Q\)は単位円上の点なので、\(OP=OQ=1\)です。

\begin{eqnarray}
PQ^{2}&=&OP^{2}+OQ^{2}-2OP \cdot OQ \cos (\beta – \alpha)\\
&=&1+1-2\cos(\beta – \alpha)\\
&=&2-2 \cos(\alpha – \beta) \cdots ①
\end{eqnarray}

次に点\(P\)と点\(Q\)の2点間の距離をもとめて、

\begin{eqnarray}
PQ^{2}&=&(\cos \beta -\cos \alpha)^{2}+(\sin \beta -\sin \alpha)^{2}\\
&=&2-2\cos \alpha \cos \beta – 2 \sin \alpha \sin \beta\\
&=&2-2(\cos \alpha \cos \beta +  \sin \alpha \sin \beta) \cdots ②
\end{eqnarray}

①,②より、

\[2-2 \cos(\alpha – \beta)=2-2(\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta)\]

ゆえに、

\[2 \cos(\alpha – \beta)=2(\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta)\]

したがって、

\[\cos(\alpha – \beta)=\cos \alpha \cos \beta +  \sin \alpha \sin \beta\]

加法定理の証明:余弦定理を使わない

次に余弦定理を使わないで証明をしていきます。

上の図において、\(AP\)間の距離を求めると

\begin{eqnarray}
AP^{2}&=&\{\cos(\alpha + \beta)-1\}^{2}+\sin^{2}(\alpha + \beta)\\
&=&2-2\cos (\alpha + \beta)
\end{eqnarray}

次に、2点\(P,A\)を原点を中心に\(- \alpha\)だけ回転した位置にある点を、それぞれ\(Q,R\)とする。

加法定理の証明

\(Q,R\)の座標は

\(Q(\cos \beta , \sin \beta),R(\cos \alpha ,- \sin \alpha)\)である。

\(QR\)間の距離を求めると、

\begin{eqnarray}
RQ^{2}&=&(\cos \beta – \cos \alpha)^{2}+(\sin \beta + \sin \alpha)^{2}\\
&=&2-2(\cos \alpha \cos \beta – \sin \alpha \sin \beta)
\end{eqnarray}

\(\angle AOP =\angle ROQ\)より、\(AP^{2}=RQ^{2}\)なので

\[2-2\cos (\alpha + \beta)=2-2(\cos \alpha \cos \beta –  \sin \alpha \sin \beta)\]

ゆえに、

\[2\cos (\alpha + \beta)=2(\cos \alpha \cos \beta –  \sin \alpha \sin \beta)\]

したがって、

\[\cos(\alpha + \beta)=\cos \alpha \cos \beta –  \sin \alpha \sin \beta\]

シータ

どちらの証明も知っておいて損はないよ!

その他の加法定理の証明

\(\cos (\alpha + \beta)\)や\(\cos (\alpha – \beta)\)の加法定理を示せば、その他の加法定理も証明できます。

\begin{eqnarray}
\cos (\alpha-\beta)&=&\cos \{\alpha+(-\beta)\} \\
&=&\cos \alpha \cos (-\beta)-\sin \alpha \sin (-\beta)\\
&=&\cos \alpha \cos \beta+\sin \alpha \sin \beta\\
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
\sin (\alpha+\beta)&=&\cos \{90-(\alpha+\beta)\}\\
&=&\cos \{(90-\alpha)-\beta\} \\
&=&\cos (90-\alpha) \cos \beta+\sin (90-\alpha) \sin \beta \\
&=&\sin \alpha \cos \beta+\cos \alpha \sin \beta
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
\sin (\alpha-\beta)&=&\sin \{\alpha+(-\beta)\} \\
&=&\sin \alpha \cos (-\beta)+\cos \alpha \sin (-\beta) \\
&=&\sin \alpha \cos \beta-\cos \alpha \sin \beta
\end{eqnarray}

\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan (\alpha+\beta)&=&\frac{\sin (\alpha+\beta)}{\cos (\alpha+\beta)} \\
\displaystyle &=&\frac{\sin \alpha \cos \beta+\cos \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta-\sin \alpha \sin \beta }
\end{eqnarray}

分子, 分母を \(\cos \alpha \cos \beta\)で割って、

\begin{eqnarray}
\displaystyle  &=&\frac{\tan \alpha+\tan \beta}{1-\tan \alpha \tan \beta}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\displaystyle \tan (\alpha-\beta)&=&\frac{\sin (\alpha-\beta)}{\cos (\alpha-\beta)} \\
\displaystyle &=&\frac{\sin \alpha \cos \beta-\cos \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta+\sin \alpha \sin \beta}
\end{eqnarray}

分子, 分母を\(\cos \alpha \cos \beta \)で割って、

\begin{eqnarray}
\displaystyle  &=&\frac{\tan \alpha-\tan \beta}{1+\tan \alpha \tan \beta}
\end{eqnarray}

これですべての加法定理を証明することができました。

まずは\(\cos\)の加法定理を示すことを覚えておきましょう。

高校生

余弦定理を使う証明が分かりやすかったです!

加法定理の証明 まとめ

今回は加法定理の証明についてまとめました。

加法定理の証明 まとめ

加法定理

\begin{eqnarray}
\sin(α+β)&=&\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta\\
\sin(α-β)&=&\sin α \cosβ-\cosα \sinβ\\
\cos(α+β)&=&\cos α \cosβ-\sinα \sinβ\\
\cos(α-β)&=&\cos α \cos β+\sinα \sinβ\\
\displaystyle \tan(α+β)&=&\frac{\tanα+\tanβ}{1-\tanα \tanβ}\\
\displaystyle \tan(α-β)&=&\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα \tanβ}
\end{eqnarray}

全ての公式を証明するために

\[\cos(α+β)=\cos α \cosβ-\sinα \sinβ\]

をまず証明する。

\(P(\cos \alpha,\sin \alpha),Q(\cos \beta,\sin \beta)\)として

①\(PQ^{2}=\)余弦定理

②\(PQ^{2}=\)単位円上の2点間の距離

証明の方針

余弦定理=単位円上の2点間の距離

今回は加法定理の証明だけに焦点をあてて解説しました。

加法定理の重要ポイントは別の記事にまとめたのでぜひご覧ください。

あわせて読みたい
加法定理の公式まとめ!加法定理の重要ポイントを徹底解説! 「加法定理ってなんだっけ?」「加法定理の公式が知りたい」今回は加法定理の公式に関する悩みを解決します。 加法定理ってなんだっけ…? 三角関数のなかでも加法定理は...

三角比や三角関数に関する記事をピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。

関連記事まとめ

みんなの努力が報われますように!

三角関数まとめ記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

当サイトの運営者。
指導歴8年目の数学講師。大学1年生から塾講師バイトを始め、これまで300名以上を指導。オンライン家庭教師のご依頼・お申し込みは、こちらの公式アカウントから承っております。詳しいプロフィール

コメント

コメント一覧 (0件)

  • 教えてください
    数学が苦手です

    PQ2=OP2+OQ2−2OP⋅OQcos(β−α)
    で2OP⋅OQcos(β−α)がでてくるのが分かりません
    なぜそうなるのか教えてください

コメントする

目次