「階乗ってなんだっけ?」
「0の階乗は?分数の階乗は?」
今回は場合の数に関する悩みを解決します。
階乗の計算で困ってて…
場合の数を求めていくなかで、とつぜん階乗(ビックリマーク「!」)が出てきておどろいた方も多いはず。
しかし、階乗の計算は難しいものではありません。
しっかりと階乗の意味と計算の仕方を理解すれば、多くの問題はスラスラと解けるようになります。
本記事では、階乗の意味とさまざまな計算方法を詳しく解説します。
記事の内容
- 階乗とは?
- 階乗は順列の考え方
- 0の階乗は?
- 分数の階乗
- 階乗の和と差
- 階乗の計算<練習問題>
階乗とは?
\(n\)の階乗とは「1から\(n\)までのすべての自然数の積」を指します。
たとえば、3の階乗は\(3 \times 2 \times 1=6\)となります。
\[n!=n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots 2 \cdot 1\]
また、階乗を表すときは数字や文字のうしろに「!」(エクスクラメーションマーク)をつけます。
つまり、\(n\)の階乗を\(n!\)と表します。
\[4!=4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1=24\]
\[5!=5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1=120\]
このように、階乗はその数から1までの積を指しているのです。
なんだ、意外とかんたんですね!
とつぜんビックリマークが出てきたらびっくりするよね
階乗は順列の考え方
階乗は人やモノの並べ方を考えるときに使います。
たとえば、1~5までの数字が書かれたカードを1枚ずつ用意して、5枚を1列に並べます。
このときカードの並べ方は以下のような計算式になります。
\[5 \times 4 \times 3 \times 2\times 1=120\]
したがって、5枚のカードを並べるときの並べ方は\(5!\)となることが分かります。
また、5枚のカードの並べ方は順列でも求めることができました。
5枚のカードから5枚を取り出して並べるので、
\[_{5}P_{5}=5 \times 4 \times 3 \times 2\times 1=120\]
同じく120通りという答えを出すことができました。
つまり、n!というのはn個の異なるものからn個を取り出して並べる順列であることが分かりました。
階乗は並べ方の総数を求めるときに使えるんだね!
0の階乗は?
ところで、0の階乗は0になりますか?
0の階乗は1になります。
0の階乗
意外に感じた方も多いかもしれませんが、階乗を並び替えとして考えると、0!は0人の並び替えなので「何もない」の1通りになるので、\(0!\)は\(1\)になります。
すこしモヤモヤしますが、0の階乗は1になることを覚えておきましょう。
階乗は並び替えを表しているんだったね!
それなら0の階乗が1通りなのも納得できるかな
分数の階乗は?
0の階乗が1なのは分かったけど、分数に階乗が出てきたらどうすればいいんだろう?
分数に階乗が含まれている問題もあります。
階乗を含む分数
見た目は難しそうですが、このような分数は約分をするとかんたんになります。
\(\displaystyle \frac{5!}{6!}=\frac{5\cdot4\cdot3\cdot2\cdot1}{6\cdot5\cdot4\cdot3\cdot2\cdot1}=\frac{1}{6}\)
\(\displaystyle \frac{3!\times{4!}}{12}=\frac{3\cdot2\cdot1 \times 4\cdot3\cdot2\cdot1}{12}=12\)
\(\displaystyle \frac{n!}{(n+1)!}=\frac{n\cdot(n-1)\cdot(n-2)\cdots2\cdot1}{(n+1)\cdot n \cdot (n-1)\cdots 2\cdot1 }=\frac{1}{n+1}\)
決してむずかしい計算ではないので、落ち着いて取り組んでみてください。
階乗の和と差
階乗の和と差を求めるときは工夫が必要です。
5!+4! &=& 5 \cdot 4! +4! \\
&=& (5+1)\times 4! \\
&=& 6 \times 24 \\
&=& 144
\end{eqnarray}\begin{eqnarray}
6!-5! &=& 6 \cdot 5! -5! \\
&=& (6-1) \times 5!\\
&=& 5\times 5! \\
&=& 600
\end{eqnarray}
階乗の共通部分をくくり出してから計算すると、それぞれの階乗を計算してから和や差を求めるよりずっと楽になります。
階乗の計算<練習問題>
階乗の計算をつかった練習問題を解きます。
解説
4人全員の並べ方の総数なので、階乗をつかって求めることができます。
4人の列なので4!となり、
\(4!=4\times{3}\times{2}\times{1}=24\)
したがって、24通りである。
解説
女子3人をひとまとめにして考える。
男子4人と女子のまとまりの並び方は、5!通りである。
また、ひとまとめにした女子3人の並び方も考えなければいけないので、
女子3人の並び方は3!通りである。
よって、並び方の総数は、積の法則により
\(5!\times{3!}=5\times{4}\times{3}\times{2}\times{1}\times{3}\times{2}\times{1}=720\)したがって、720通りである。
階乗の計算 まとめ
今回は数学Aの階乗の計算について解説しました。
- 階乗
- 1から\(n\)までのすべての自然数の積
\[n!=n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots 2 \cdot 1\]
階乗を含む分数や、階乗の和と差もしっかりと解けるようにしましょう。
\[\displaystyle \frac{3!\times{4!}}{12}=\frac{3\cdot2\cdot1 \times 4\cdot3\cdot2\cdot1}{12}=12\]
\begin{eqnarray}
5!+4! &=& 5 \cdot 4! +4! \\
&=& (5+1)\times 4! \\
&=& 6 \times 24 \\
&=& 144
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
6!-5! &=& 6 \cdot 5! -5! \\
&=& (6-1) \times 5!\\
&=& 5\times 5! \\
&=& 600
\end{eqnarray}
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。
みんなの努力が報われますように!
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