「条件付き確率の求め方が分からない」
「ただの確率と条件付き確率の見分け方が分からない」
今回は条件付き確率に関する悩みを解決します。
条件付き確率の見分けがつかなくて…
ある事象Aが起こる条件のもとで、事象Bが起こる確率を条件付き確率といいます。
条件付き確率\(P_{A}(B)\)は次の公式で求めます。
条件付き確率
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)
本記事では、条件付き確率の公式とその求め方について解説しています。
記事の内容
条件付き確率とは?
ある事象Aが起こるという条件のもとで、事象Bが起こる確率を条件付き確率\(P_{A}(B)\)といいます。
この問題には「サイコロを1回振って偶数が出た」という条件があるので、条件付き確率の問題です。
条件が付いているものが条件付き確率なんだね
条件付き確率の公式
事象Aが起きる確率を\(P(A)\),事象Bが起きる確率を\(P(B)\)とすると、
事象Aが起きるときに事象Bも起きる条件付き確率\(P_{A}(B)\)は以下の公式で求めます。
条件付き確率
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)
条件付き確率の求め方
条件付き確率\(P_{A}(B)\)を求めるには、
- \(P(A)\)
- \(P(A \cap B)\)
この2つを求める必要があります。
\(P(A)\)は事象Aが起きる確率で、
\(P(A \cap B)\)は事象Aと事象Bがどちらも起きる確率です。
条件付き確率\(P_{A}(B)\)を求めるには、事象Aの確率\(P(A)\)と事象Aと事象Bが同時に起きる確率\(P(A \cap B)\)を求めます。
条件付き確率の問題
以下の2つの確率は同じだと思いますか?
- サイコロを1回振って、2の目が出る確率
- サイコロを1回振って偶数が出ました。その目が2である確率
どちらもサイコロを1回投げて2の目が出ているので、2つとも確率は同じに感じるかもしれません。
しかし、実際の確率は違います。
1.サイコロを1回振って、2の目が出る確率
サイコロを1回投げて、2の目が出る確率は\(\displaystyle \frac{1}{6}\)です。
2.サイコロを1回振って偶数が出ました。その目が2である確率
これには出た目が偶数であるという条件が付いています。
以下のように確率を定義します。
\(P(B)\):サイコロを1回投げて2の目が出る確率
今回は、事象Aの条件で事象Bが起きる条件付き確率\(P_{A}(B)\)を求める問題です。
したがって、\(P(A)\)と\(P(A \cap B)\)を求めます。
事象Aはサイコロを投げて偶数目が出る確率なので
\(\displaystyle P(A)=\frac{3}{6}=\frac{1}{2}\)
事象Aと事象Bが同時に起きる確率は、
\(\displaystyle P(A \cap B)=\frac{1}{6}\)
したがって、求める条件付き確率\(P_{A}(B)\)は
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}=\frac{\frac{1}{6}}{\frac{1}{2}}=\frac{1}{3}\)
となります。
よって、以下の2つは異なる確率であることが分かりました。
- サイコロを1回振って、2の目が出る確率 ⇒ \(\frac{1}{6}\)
- サイコロを1回振って偶数が出ました。その目が2である確率 ⇒ \(\frac{1}{3}\)
実際に計算してみるとこんなに違うんだね。
条件付き確率の見分け方
条件付き確率の見分け方は簡単です。
求めたい確率に前提となる条件があるかどうかです。
確率の問題
- サイコロを投げて3の目が出る確率
- サイコロを投げて奇数が出ました。出た目が3の確率
- コインを2枚投げました。2枚とも表である確率
- コインを2枚投げて1枚は表でした。もう1枚も表である確率
上にあげた4つの確率のなかで、条件付き確率は2,4の2つです。
2には「奇数が出た」という条件があります。
4でも「1枚は表」という条件があります。
このように、条件付き確率の問題を見分ける方法は「前提となる条件があるか否か」です。
練習問題《条件付き確率》
条件付き確率の問題に挑戦してみましょう。
練習問題1
サイコロを2回投げて出た目の和が9以上となる確率はいくらでしょうか。ただし、1回目に出た目は4でした。
これは1回目に4の目が出たという条件が付いています。
したがって、条件付き確率の問題だと分かります。
\(P(B)\):サイコロを2回投げて、出た目の和が9以上の確率
とします。
この問題は条件付き確率\(P_{A}(B)\)を求めます。
条件付き確率\(P_{A}(B)\)は
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)
で計算します。
確率\(P(A)\)はサイコロを1回振って4の目が出る確率なので、
\(\displaystyle P(A)=\frac{1}{6}\)
確率\(P(A \cap B)\)はサイコロを振って4の目が出たあとに、5か6が出ればよいので
\(\displaystyle P(A \cap B)=\frac{1}{6} \times \frac{1}{6} + \frac{1}{6} \times \frac{1}{6}=\frac{1}{18}\)
したがって、条件確率\(P_{A}(B)\)は
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}=\frac{\frac{1}{18}}{\frac{1}{6}}=\frac{1}{3}\)
練習問題2
男女が生まれる確率は等しく\(\frac{1}{2}\)とします。
Aさんには子どもが2人います。そのうちの1人は男の子であることが分かっています。
では、子どもが2人とも男の子である確率はいくつですか?
「男の子と男の子なので、\(\frac{1}{2} \times \frac{1}{2}=\frac{1}{4}\)」
もしくは
「男の子が生まれる確率は変わらず\(\frac{1}{2}\)だから、もう1人の子どもも男の子である確率は\(\frac{1}{2}\)」
そう考えてしまうのも分かりますが、実際はそうではありません。
2人の子どもの性別は以下の4通りが考えられます。
この図を見た限りでは、2人とも男の子である確率は\(\frac{1}{4}\)に思えます。
しかし、今回の問題には「1人が男の子であることが分かっている」という条件が付いています。
したがって、実際に考えられる2人の子どもの性別のは以下の3通りなのです。
ゆえに、今回求める条件付き確率は\(\frac{1}{3}\)となります。
これを計算で求めましょう。
\(P(B)\):子どもは2人とも男の子である確率
\(P(A)\)は「2人とも女の子である」の余事象なので、
\(\displaystyle P(A)=1-\frac{1}{4}=\frac{3}{4}\)
子どもが1人が男の子かつ2人とも男の子である確率は
\(\displaystyle P(A \cap B)=\frac{1}{4}\)
したがって、求める条件付き確率\(P_{A}(B)\)は
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}=\frac{\frac{1}{4}}{\frac{3}{4}}=\frac{1}{3}\)
条件付き確率 まとめ
今回は場合の数と確率から条件付き確率についてまとめました。
条件付き確率
- 条件付き確率\(P_{A}(B)\)は、事象Aが起きる条件で事象Bが起きる確率
- 条件付き確率\(P_{A}(B)\)の公式
\(\displaystyle P_{A}(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}\) - 条件付き確率の見分け方は、求める確率に前提条件があるかどうか
条件付き確率が分かった気がするよ!
それは良かった!慣れるために問題に挑戦してみてね!
条件付き確率についてまとめましたが、まずは公式として覚えるところから始めましょう。
公式を覚えたら学校の問題集から始めてみるのが良いと思います。
教科書や問題集でも理解しきれないときは「スタディサプリ」や「河合塾One」の映像授業がおすすめです。
どちらも無料で始められるので、苦手な単元の復習に活用してみてください。
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