「傍心ってどんな点?」
「傍心の性質が知りたい」
今回はこんな悩みを解決します。
三角形の傍心ってなんだろう…
三角形には五心と呼ばれる5つの点が存在します。
今回は五心の中でも“傍心”についてまとめました。
三角形の傍心とは、1つの角の二等分線と他の2つの外角の二等分線の交点を指します。
上図から分かるように、三角形には傍心が3つあります。
本記事では三角形の傍心について解説します。
傍心の定義や性質などが知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
記事の内容
それでは傍心について解説していきましょう。
三角形の傍心とは
三角形の傍心とは、1つの角の二等分線と他の2つの外角の二等分線の交点を指します。
三角形の傍心の定義
角の二等分線と他の2つの外角の二等分線の交点
文字ではピンとこないと思うので、詳しく解説していきましょう。
動画で解説が見たい方は「とある男が授業をしてみた」の葉一さんが分かりやすく解説しています。
下の図のように三角形の3辺の延長線を描きます。
三角形の外角の二等分線と向かい合う頂点の二等分線が1点で交わります。
この交点が三角形の傍心です。
外角の二等分線2本と向かい合う頂点の二等分線がかならず1点で交わることの証明はこちら。
⇒傍心の存在証明はこちらから
傍心は1つの三角形に対して3点存在します。
三角形の傍心と内心の関係
三角形の内心は角の二等分線の交点なので三角形の内側に存在します。
三角形の内心については「三角形の内心の性質と証明」で解説しています。
それに対して、傍心は外角の二等分線の交点なので三角形の外側に存在します。
内心と傍心ではまったく違う点に見えますが、内心と同じような性質を持っています。
内心と傍心のどちらも“角の2等分線の交点”なので似たような性質を持ちます。
その性質のひとつを紹介します。
内心は三角形の内接円の中心の点です。
三角形の面積を\(S\)、内接円の半径を\(r\)とすると
\[S=\displaystyle \frac {1}{2} r(a+b+c)\]
が成り立ちます。
それに対して、傍心を中心として周りに接する半径\(r_{A}\)の円を描きます。
この円を傍接円といいます。
このとき、
\[△ABC=-△I_{A}BC+△I_{A} C A+△I_{A}AB\]
となり、
\[\displaystyle S=\frac{1}{2} r_{A}(-a+b+c)\]
が成り立ちます。
✅ 三角形の五心まとめ記事
傍心の存在証明
三角形の傍心が存在することの証明をします。
「外角の二等分線と対角の二等分線が1点で交わること」がすべての三角形でいえるのかを確かめましょう。
長くなってしまったので証明が気になる方は下をクリックしてください。
傍心の性質
1つの三角形に対して、傍心と傍接円は3個存在します。
傍心は内心と似た性質をもっています。
そこで傍心・内心に関する重要な性質を 4つ紹介します。
傍心の性質
- 傍心は傍接円の中心である
- 傍心からの垂線の長さと傍接円の半径は等しい
- \(\triangle ABC\)の内心\(I\)は、\(\triangle ABC\)の傍心を頂点とする三角形の垂心と一致する
- 傍心\(I_{A}\)は直線\(AI\)上に存在する
【性質①】傍心は傍接円の中心である
傍心は傍接円の中心です。
【性質②】傍心からの垂線の長さと傍接円の半径は等しい
△ABCにおいて、傍心からの各辺にひいた垂線の長さと傍接円の半径は等しい。
【性質③】△ABCの内心Iは、△ABCの傍心を頂点とする三角形の垂心
3つの傍心を\(I_{A},I_{B},I_{C}\)とすると、\(\triangle ABC\)の内心Iは\(\triangle I_{A}I_{B}I_{C}\)の垂心である。
【性質④】傍心\(I_{A}\)は直線\(AI\)上に存在する
傍心も内心も角の二等分線の交点で定義される点なので、傍心\(I_{A}\)は直線\(AI\)上に存在する
三角形の傍心の書き方
三角形の傍心の書き方を図を用いて解説します。
必要なのは、三角形、筆記用具、コンパスです。
手順は簡単です。
三角形のどこかの頂点にコンパスの針を置いて弧を描きます。
そのとき辺と辺の延長線の2か所で交わります。
次に、どちらかの交点にコンパスの針を置きなおし、弧を描きます。
これができたら、もう片方の交点にコンパスを置きなおし、もう一度弧を描きます。
2つの弧の交点と、初めにコンパスを置いた頂点を結んだものが外角の二等分線です。
別の外角でも同様のことをします。
2つの外角の二等分線が交わったところが傍心です。
ココに注意
最後に内角の二等分線もひいても良いのですが、傍心の性質上1点で交わることは分かっているのでタイムロスになります。
傍心の位置ベクトル
3点の傍心\(I_{a},I_{b},I_{c}\)の位置ベクトルは以下のように表されます。
傍心の位置ベクトル
\[\displaystyle \vec{i_{a}}=\frac{-a \vec{a}+b \vec{b}+c \vec{c}}{-a+b+c}\]
\[\displaystyle \vec{i_{b}}=\frac{a \vec{a}-b \vec{b}+c \vec{c}}{a-b+c}\]
\[\displaystyle \vec{i_{c}}=\frac{a \vec{a}+b \vec{b}-c \vec{c}}{a+b-c}\]
傍心の位置ベクトル《証明》
辺 \(BC\) に関して頂点\(A\)と反討側にある傍心\(I_{a}\left(\vec{i_{a}}\right)\)について証明します。
(他の傍心の場合も同樣)
\(I_{a}\)は角\(A\)の2等分線上にあるから
\[\displaystyle \overrightarrow{AI_{a}}=s\left(\frac{1}{c} \overrightarrow{\mathrm{AB}}+\frac{1}{b} \overrightarrow{\mathrm{AC}}\right)(0<s) \]
と表せる。
一方で、
\(\mathrm{I}_{a}\)は角\(C\)の外角の2等分線上の点でもあるから
\begin{eqnarray}
\displaystyle \overrightarrow{AI_{a}}&=&\overrightarrow{AC}+\overrightarrow{CI_{a}}\\
\displaystyle &=&\overrightarrow{AC}+t\left(\frac{1}{a} \overrightarrow{CB}+\frac{1}{b} \overrightarrow{AC}\right) \quad(t>0)\\
\displaystyle &=&\overrightarrow{AC}+t\left\{\frac{1}{a}(\overrightarrow{AB}-\overrightarrow{AC})+\frac{1}{b} \overrightarrow{AC}\right\}\\
\displaystyle &=&\frac{t}{a} \overrightarrow{AB}+\left(1-\frac{t}{a}+\frac{t}{b}\right) \overrightarrow{AC}
\end{eqnarray}
と表すこともできる。
\(\overrightarrow{\mathrm{AB}} \neq \overrightarrow{0}, \overrightarrow{\mathrm{AC}} \neq \overrightarrow{0} \)かつ\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\)と\(\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)は平行でないので,
\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{s}{c}&=&\frac{t}{a}\\
\displaystyle \frac{s}{b}&=&1-\frac{t}{a}+\frac{t}{b}
\end{eqnarray}
を得る。
これを解いて、
\[\displaystyle s=\frac{b c}{-a+b+c}, \quad t=\frac{a b}{-a+b+c}\]
よって、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{AI_{a}}}&=&\frac{b}{-a+b+c} \overrightarrow{\mathrm{AB}}+\frac{c}{-a+b+c} \overrightarrow{\mathrm{AC}}\\
\displaystyle &=&\frac{b}{-a+b+c}(\vec{b}-\vec{a})+\frac{c}{-a+b+c}(\vec{c}-\vec{a})\\
\displaystyle &=&\frac{-b-c}{-a+b+c} \vec{a}+\frac{b}{-a+b+c} \vec{b}+\frac{c}{-a+b+c} \vec{c}
\end{eqnarray}
したがって、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \vec{i_{a}}&=&\vec{a}+\overrightarrow{\mathrm{AI_{a}}}\\
\displaystyle &=&\frac{-a \vec{a}+b \vec{b}+c \vec{c}}{-a+b+c}
\end{eqnarray}
よって証明終了
図形に関するおすすめ勉強法
図形の問題はパターンが無限といっても良いほどあります。
図形のなかで傍心はマイナーな点なので、なかなか問題に出てくることはありません。
いつ傍心が出題されても良いようには図形のおすすめ勉強法を紹介します。
- 教科書やノートを見直す
- 問題集で応用力を磨く
- 分かりやすい解説を見る
自分のいまの理解度と目標を照らし合わせて、自分に合った勉強法を試してみてください。
3つの勉強法を紹介するよ
教科書やノートを見直す
まずは基本に立ち返って、教科書・ノートを見直してみましょう。
教科書には重要なポイントがギュッと詰まっています。
五心それぞれの定義や性質は「三角形の五心の性質と証明を解説!」でもまとめているのでぜひご覧ください。
基本問題が不安なら教科書がおすすめ!
問題集で応用力を磨く
傍心や五心の性質を覚えたら、問題を解いて応用力を磨きましょう。
- 教科書の例題
- 問題集の基本問題
- 問題集の応用問題
いきなり応用問題ではなく、少しずつレベルアップさせることを意識してください。
問題の難易度をステップアップさせていくと、自分がどこで分からなくなったか把握しやすいです。
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分かりやすい解説を見る
以下のような悩みがあるなら映像授業もおすすめです。
- 勉強しても成績が伸びない
- 学校の授業が分かりにくい
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映像授業なら自分に必要な授業だけを受けられるうえに、繰り返し視聴することができます。
分からないを1つずつ解消していけるので、定期テストで高得点を取りたい方は授業授業がおすすめです。
映像授業で学ぶメリット
映像授業で学ぶことのメリットを3つ紹介します。
映像授業で学ぶメリット
- 勉強に対する苦手意識がなくなる
- 目標に最短ルートで近づける
- 楽しい高校生活と勉強の両立
勉強に対する苦手意識がなくなる
映像授業では各教科のプロが授業をするので、かなり分かりやすい解説が多いです。
高校生のつまづきやすいポイントをしっかりと押さえた分かりやすい授業で、苦手単元を1つずつ解消していきます。
目標に最短ルートで近づける
自分に必要な授業だけを受けられるので、最短ルートで目標に近づきます。
ただひたすらに解説を写す勉強は時間がもったいないです。
自分のレベルに合わせた授業だけを受けて、最短で目標達成を目指します。
楽しい高校生活と勉強の両立
1回の授業が15分程度で、ネット環境があればどこからでも受講できます。
通学の電車でもサクッと復習できるので、部活や遊びとの両立も可能です。
目的に合わせて選ぶことが重要
映像授業といっても様々なサービスがあります。
どこでも良いわけではなく、あなたの目標に合った映像授業を選ぶことが重要です。
サービス名 | こんな方におすすめ |
河合塾One | 定期テスト対策がしたい |
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どちらも会員数をグングン伸ばしているので、いつ無料体験がなくなるか分かりません。
ちなみに、定期テスト対策なら「河合塾One」、受験に向けて始めるなら「スタディサプリ」がおすすめです。
無料体験期間
定期テストに向けて無料体験の期間で総復習するのもオススメです!
高校生向けの映像授業をランキング形式でまとめました。
三角形の傍心 まとめ
今回は傍心の定義や性質をまとめました。
三角形の傍心 まとめ三角形の傍心の定義
角の二等分線と他の2つの外角の二等分線の交点
傍心の性質
- 傍心は傍接円の中心である
- 傍心からの垂線の長さと傍接円の半径は等しい
- △ABCの内心Iは、△ABCの傍心を頂点とする三角形の垂心
- 傍心\(I_{A}\)は直線\(AI\)上に存在する
⇒傍心の性質についてはこちら
傍心はなかなか問題に出てきませんが、知っておくと周りと差がつきます。
傍心は五心のなかではマイナーな点です。
「内心」や「外心」は重要な点なので必ず確認しておきましょう。
傍心以外の五心についてはこちらの記事でまとめました
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